駒場美術博物館は、東京大学が新制大学として再スタートを切ってまもない1951年に、新しい教養学部の文理横断型総合教育構想の一環として創立されました。最初は展示スペースもない中で、運営委員会メンバーの尽力のもと精力的な資料蒐集が行われたのですが、旧第二本館内に待望の展示室が開設されたのは10年後の1961年のことでした。それからさらに10年後の1971年に、旧制第一高等学校以来図書館として使われてきた現在の建物の2階(1階には教務課が入った)に移転しました。
2003年、この建物に全面改修が施され、美術博物館はようやくその名に値する活動空間を得て、新たなスタートを切ることとなります。2003年11月から12月にかけて開かれたリニューアル・オープン記念特別展「色の音楽・手の幸福 −ロラン・バルトのデッサン展−」を皮切りに、総合文化研究科・教養学部ならではの広範なテーマの展覧会を開催してきています。展覧会開催時には、関連企画の講演会、公開シンポジウム、本学部教員と展覧会関係者によるギャラリートークなども行っています。2003年以降、駒場美術博物館がどのような展覧会を催してきたかは、過去の展覧会でお知りになれます。
駒場美術博物館の所蔵する資料は多岐に亘ります。ほんの一例を挙げるだけですが、東洋の美術資料、梅原龍三郎氏寄贈のコプト織、中南米とアジアの考古学資料、旧制第一高等学校関連資料等があり、その中には橋本雅邦、下村観山など著名な画家の作品も含まれています。
1970年代以降は、現代美術の収集も行っていますが、その嚆矢となったのがマルセル・デュシャン「花嫁は彼女の独身者達によって裸にされて、さえも」(通称「大ガラス」東京ヴァージョン)の自主制作でした。1980年に完成したこの作品は、駒場美術博物館のシンボルとして常設展示されています。
そのほか、展覧会以外の活動拠点として、2007年6月に、日本全国の美術館 ・博物館で開かれた展覧会のカタログを幅広く収集した資料室を開室しました。
駒場美術博物館は、一般公開を原則としており、多数の方に気軽に訪れていただきたいと考えています。今後も、駒場キャンパス内で展開されている多様な研究についてのわかりやすい情報発信の場として機能するよう、環境を整えてゆく所存です。
|