さて、主役の3名ですが、まずドイツの詩人にして官僚兼自然研究者のJ. W. v.ゲーテ(1749-1832)、続いて1873年にドイツ[プロイセン]政府の要請で来日し、日本の産業と工芸品調査を行い、石川県白山市で日本初の植物化石を発見したJ. J. ライン(1835-1918)、そしてラインに師事した本学の初代地理学教授・山崎直方(1870-1929)、いずれも〈地図コレクター〉という共通点があります。しかも彼らが集めた地図の周辺では、時には心温まる、時には命を懸けた人物交流の物語が生まれています。たとえば今回のポスター円枠内は江戸時代の古地図ですが、ラインがこの珍しい富士山描写に気づいて購入、日本語解読には弟子たちの協力を得て、ドイツの老舗地図出版社ペルテス刊行のAtlas von Japan(『日本アトラス』1885/1887)に利用されたという経緯があります。