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 □ 柏葉と橄欖 □

柏葉章については当ホームページ「私蔵資料」の「一高柏葉章のかたちについて 熊谷 晃」に詳細がつくされていますので、ご参照下さい。

和服の場合、黒留袖や喪服に使用される陽紋で、正式の場合とされていますが、一高で使用された例は多くありません。 昭和年代の同窓会報の「花筵」を見ると白地に陽紋の柏葉と細い実線4本による白線2本の図形が多く見られます。 手書きでは最も容易な図形です。




和服では陰紋として略式の場合に使われますが、源氏の白地の旗、幟、幔幕にはこれが使用されており、一高も白旗ですから旗、幟、幔幕は全てこの陰紋が使われています。 但し護國旗は下に示すように赤地に金色の柏葉と白線とが画かれています。




柏葉は陽紋で二本の白線は陰紋で、和服の紋章なら陽紋と陰紋が混同しているので異論があるかも知れませんが、図柄としてわかりやすいためか、かなり多く使われています。




 いまも駒場の「東京大学教養学部」の正門の大扉に、 当時のまま残る「柏葉」の透かし模様は、一高の校章だったものです。 「柏(オーク)」の3葉と「橄欖(オリーブ)」の3葉6実を組み合わせた紋章の由来は、 明治19(1886)年に大学予備門から第一高等中学校と改称されたときに遡ります。 そのときは中央に「一中」の文字が入っていましたが、 同27(1894)年の学制改革で第一高等学校になったときに文字は取り除かれ、 以後このデザインは昭和25(1950)年の廃校まで変わりませんでした。

柏葉と橄欖
柏葉と橄欖

「柏葉」はローマ神話の軍神マルスの「武」を表わし、 一方「橄欖」は女神ミネルヴァの「文」を意味するといわれます。しかしこれには異説もあるようです。 また中国語の「橄欖」はオリーブの誤訳で、両者は別種であるという異論もありますが、 長い伝統のなかで「柏葉」は一高の象徴として定着してきましたので、細部にはこだわらないことにします。 本郷向ヶ丘に植樹された橄欖樹は農学部がつけた説明板では、オリーブでもなくブナ科のスタジイとなっています。 何故スタジイが植樹されたのかは記録がありません。 日本では宮崎県の一部に橄欖が自生しているそうですが、一高の橄欖はオリーブでも気にしないことにしましょう。

護國旗 旧制高等学校記念館保管
レプリカ 同窓会事務局保管
護國旗 東大駒場美博保管
副旗 東大駒場美博保管
 この「柏と橄欖」というデザインは、校章のほか校旗の「護國旗」にもみられますが、 両者は少しく異なっています。 柏の3葉はほぼ同じですが、橄欖は校章が3葉6実に対して、 護國旗は2枝に多くの葉がついています。
また護國旗には中央に「國」の文字が篆書で書かれています。
 この護国旗の「柏葉」は時計台のある本館( いまは1号館といわれています ) 裏手のアーケード中央上部に、いまも一高当時のまま残されています。 なお1号館は文化庁の有形文化財に指定されましたので、アーケード上の護国旗も末永く保存されることでしょう。


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