第五十七回紀念祭寮歌 《 悲しみに 》 藤井 乙美・作詞 悲しみにまなこ眩みて 光なくうちあらがひつ 果しなきうばらの原に もろ人は群れさまよひつ 二、 猛り立つ力の極み 荒れ迫る濤に挑みて ありし日の榮えを空しく 濁り江の淵に沈みぬ 三、 集へども我愉しまず 虚しさは搖れ漂ひぬ 友がきの惇きを忘れ 丘のべも人の群のみ 四、 此の丘や千草の競ひ 手折り來し夢かずかずに 柏蔭の泉に寄せて 智慧語る望みはありき 五、 大いなる時の流れに うつろひしたくみの花の 香を慕ひ色求めつゝ 行きなやむ闇夜のおどろ 六、 定めなき荒れ野の道も 遙かなる空のきはみに 新生の希ひをひそめ 曙の光はあるを 七、 昏き日の迷ひを捨てゝ 仰ぎ見よかの頂きを あかつきの光りに染みて 雲破る峰聳えたり 八、 現し世の嵐はあれど 望みなる峰は招きつ 我が友よ求めて行かん とこしへの心の息吹を (昭和二十一年) |