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第五十一回紀念祭寮歌 《 時計臺に

斉木 千九郎・作詞
真島 英信・作曲


一、
時計臺あらゝぎ狭霧さぎりはこめて 四つの城静寂しじまわたりぬ
黄金なす落葉さやげば ひたぶるのおもひすゞろに
嗚呼三とせ夢の旅路も やがてしも疾くぞ盡きぬる

二、
人の世は辛く惡しきを こゝのみぞみちの故郷
かりそめの奇しき縁しに むつびてし心と心
まことこそ褪せじと言ふを はたそれも追憶かたみなりしか

三、
ひたすらに心の旅は みやこどり何處いさよふ
言問はんすべあらなくに ふみ分けぬ先哲の業績あと
空しくぞ蝋燭ともしびくちて 永劫とことはの涙あふれぬ

四、
露しとど残月つき傾きて しのゝめの黎明あさは來れり
高ネす丘に迷へば くだかけ新時代ときを告ぐるを
嗚呼昏迷まよひかくて失せばや 責任せめ重き柏兒ぞわれ

五、
男子われ生ける甲斐あり あひあひて聖代みよに生れぬ
國護る旗し掲げて 柏葉兒起ちて雄叫よばへば
高らかに時鐘かねは亘りて 東洋はあかく燃えたり

六、
ふるさとは五十一いそひと歳の さびたけぬ橄欖の木は
とこみどりいよゝさやけく 紅顔くれないの丘の子達は
なつかしき校長をさともども あらたなる自治を築かむ

七、
希望のぞみこそ胸に充つれど なみなみと玉杯つきあふるれど
今宵こそ別れのうたげ しかすがにそゞろかなしも
さらば君世をば憂ひつゝ 暫時かりそめ別盃わかれほさんか

                       (昭和十六年)

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