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第五十回紀念祭寮歌 《 清らかに

卜部 舜一・作詞
樫田 計三・作曲


一、
清らかに秋の夕ぐれ 銀杏いてふ葉は道に積りて
淋しくも華麗なる黄色を かさこそとふみて親しむ
彌生道風もつめたく 思ひ出は湧きて出づなり

二、
はやすぎし三年うるはし 紅き頬望みかゞやき
此の丘に慕ひ登れば 柏葉の森は清くて
若人とわれは誇りき 過ぎにしは繪にてこそあれ

三、
友どちも心交しき 夜は更けて蝋燭の火に
語りつぐおのが悲しみ 手をとりて肩をたゝきて
朝明けを共に見しかな 今去りてすべてむなしく

四、
ふみ讀めばよろこびを知り 旅行きて樂しさと呼ぶ
先人の踏みゆきし道 新しく拓きゆく道
雄々しくも我は進みき あこがれのみちびくまゝに

五、
春去りて花に浮き立ち 水流る川のほとりを
青空に若さ謳へば 雲雀鳴き雲にかくれし
仕合せの時もありしか めぐりくる別れえ知らず

六、
風ふきて月はさやかに しらじらと道を照らせば
歓楽はすべて消え果て 悲しくも指を折りつゝ
去りてゆくその日ふなり 人の世は淋しさといふ

七、
若さそもいつか滅びむ 友どちの厚き情けも
永遠とひとな思ひそ 何時の世もたゞひとりして
旅行くは運命にてある いざ野行き光追はゞや

八、
此の三年過ぎてうるはし なつかしの思ひたえずに
知るしらず涙こぼるゝ 偲ばずや征きしつはもの
憂ひなくわれら學べり 踏みゆかん眞理まこと指す道

九、
御戰も三年めぐりて 彌高く御稜威擧りぬ
朗らかの建設の音 受けつがば榮えを守りて
こぞり立ち力盡さむ 東洋の盟主われらは

十、
ふるさとは今宵まつる日 月照れば篝燃え立ち
五十路なる齢祝ひて 杯に酒し掬みては
高うたふなつかしの歌 友びとよ宵を踊らむ

             (昭和十五年)

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