第二十二回紀念祭寮歌 《 しづかに沈む 》 秦 豊吉・作詞 しづかに沈む春の日の 夕雲遠き丘の上 きらめきながらわびしくも 暮れ行く光眺めては 人の得知らぬ愁こそ かなしき胸をおほひけれ 二、 うつろふ姿ひとときに とどめもあへず橄欖の 花はま白く墜ちゆかむ つめたき智慧に欺かれ 楽しき丘の思ひ出を 葬むる時もいつの日か 三、 春は何處に老いゆくを 友は何處に隠れ行く 寂しき人の群れつどひ 夢みる胸の褪せゆかば 溢るるおもひ語りてし 若き歎きをしのぶべき 四、 失せなむ迄は紅の ついには萎む花草を 咲けるがまゝに摘み行かむ 空しき光消えぬ間に 三とせの春を享楽の あゝ若き日をすごさばや 五、 年はめぐれる二十二の いま黄昏るゝ窓のへに 櫻の花は散りしけり 赤き光もなつかしき 灯照らす其蔭に 友よ歌はむ紀念祭 (明治四十五年東寮) |