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第二十三回紀念祭寮歌 《 さゝら流れの

久能木慎治・作詞/星野 龍猪・作曲

一、
さゝら流れの水ぬるむ 雲心なく行く春や
何を思ふか吾れもまた 長き愁ひを如何にせむ
ひとに許さず此のむねに あだなる歌は知らざらむ

二、
九五きゅうごの位高くして み夢冷え行く龍榻りゅうとう
夕べの鐘の、音も細く 流るゝ頃の淋しくて
草笛かなし、春くれど 今年の祭静かなり

三、
邊塞へんさい花を尋ねては 雪分けしかな金華山
風荒うして十萬の 鐵蹄の跡消え失せば
青雲あおぐもの伏す限りてふ うたひし人の夢いづく

四、
あゝみんなみの物語 浮べて咽ぶ黒潮に
豪宕の響ありながら 紀伊をめぐれば亡き君を
慕ふ吾等と共々に 花すゝり泣く此の春や

五、
一つ調に歌ひても 終には別れ別れにて
ひとり浮世に迷ふかな さやかに契るひまもなし
せめて語らむ二十三 祭重ぬる夜は長く

                      (大正二年東寮) 


※ 楽譜は平成16年版の最終寮歌集に拠っています。

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