第二十七回紀念祭寮歌 《 若紫に 》
橘高寳實・作詞/箕作秋吉・作曲 一、若紫に夜は溶けて 夢に漂ふ暁の 丘の小草の青ばみに 春の光のかげろへば 乾に霊 二、 花散る床のまどろみや 枕に通ふ明の鐘 醒めよと強く私語 歡楽の野に辿り入る 祝へや一日紀念祭 三、 草より草に沈み行く 片われ月の武藏野に み星の涙滴りて 亂るゝ花の潤へば 筑波の峰に星冱えて 玉笛ゆるうすゝり泣く 四、 あゝ當年の若武者が 駒の蹄を忍ばせて 行方も知らず迷ひけむ 丘の夕もありにしか 廣野を靉く白銀の 薄 五、 丘は變らぬ丘の上に 自然の姿うつろひて 聳えてゆかし六つの城 散り行く花の下蔭に 夕さり来れば若人が 紅き血潮の滾 六、 思出多き武香陵 六寮建てゝ二十七 春年毎にめぐれども 三年の春に限りあり 盃あげてさらば君 ともに壽げ花筵 (大正六年南寮) |