ウィリアム・バトラー・イェイツ(William Butler Yeats, 1865-1939)は、19世紀末から20世紀前半のアイルランドを代表する詩人・劇作家であり、1923年にはノーベル文学賞を受賞しています。イェイツの生きた時代のアイルランドは、自治運動、文芸復興運動、復活祭蜂起、独立戦争、自由国成立と内戦など、政治的にも文化的にもかつてないほどの激動と変化を経験しました。その時代を呼吸し、また自らそうした動きに多大な影響を及ぼしたイェイツの創作活動と生涯は、この時期のみならず、現代に至るアイルランド文化・社会のありようを考える上で、重要な示唆を与え続けています。
イェイツはまた、アーネスト・フェノロサ、エズラ・パウンドを介して知った日本の能に触発され、独自の演劇作品を残しています。一方、わが国では上田敏、芥川龍之介、西條八十、菊池寛などの文学者によって同時代の詩人・劇作家としていち早く翻訳、紹介されており、日本との関わりの深い文学者としても知られています。
駒場博物館では、アイルランド国立図書館で開催され、高い評価を受けている「W. B. イェイツ――その生涯と業績」展をもとにしたパネル展示を中心に、同図書館および東京大学図書館の協力を得て、イェイツの文学者としての軌跡と同時代のアイルランド、そして日本での受容についての展示を行います。また、関連企画として日英語による詩の朗読とアイリッシュハープの演奏、能『錦木』に影響を受けた一幕劇『骨の見る夢』の上演、本年度、東京大学と学術協定を締結したトリニティ・カレッジ・ダブリンのテレンス・ブラウン名誉教授による記念公演も行います。これらを通して、イェイツの文学世界の豊穣さの一端を複合的な形で味わっていただければ幸いです。 |
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