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第十三回紀念祭寮歌 《 寄する新潮の

辻村 鑑・作詞
小峰 昇・作曲

一、
曉寄する新潮にひしほの その浪高く鳴る所
四海の闇は影ひそめ 愉快ならずや億劫の
塵に眩ゆき光あり

二、
空に無限の座を占めて きらめき出づる明星に
劫風夕べ鳴を止め 四大のあらび収りて
千歳春の歌を聞く

三、
嗚呼彼の聲に亡びざる 望はとはにこもらずや
嗚呼彼の歌に萎まざる 榮の花は開かずや
醒めよ迷の夢醒めよ

四、
春向陵の月に散る 花に吉野の名は殘れ
自治の根ざしに青年の 理想の泉涸るゝ時
五寮の甍光なし

五、
嵐荒みて大空に 一つの星の消ゆる如
吾世の夢を破るべく 勤倹尚武もだすとき
五寮の夕べ人もなし

六、
まだ春浅き岡の上 若葉の影に一張の
千すぢの琴ぞ懸りたる 其緒にめぐる若き血の
たぎるや高き自治の歌

七、
見よ紫の雲間より 望の光さしめぬ
十三年の曙を 彌生が岡の若櫻
瑞枝に躍る旭影

八、
葉末にそよぐ風の音か 海に逆巻く大濤か
十三年の曙を 千すぢの琴は鳴り出でぬ
力ある哉自治の歌

                   (明治三十六年 西寮)



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