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第十六回紀念祭寮歌 《 波は逆巻き

水野武太郎・作詞/石川鐡雄・作曲

一、
波は逆巻き風あれて 迅雷金蛇を激したる
水門入江に夜は明けて 平和の光東(ひんがし)の
空にあがれば文明の 花こそ香へ秋津洲

二、
萬骨あだに遼東の 幽鬼(おに)となりにし戰も
いまはた誰を咎むべき 臥薪嘗胆また更に
十年待つ間の平和かな 平和よさらば春の夢

三、
時運の歩み世のすがた 止めむ術はなけれども
意気にほこりし若人が ひそかに撫する鐡(くろがね)の
剣の冴を誰か知る 双腕(もろて)の力を誰か知る

四、
うつに心の急がれて 立つに立たれぬ唐衣
しばしたゝずむ花蔭に 月没(い)る方をながむれば
扶揺に搏つは九萬里 鷲の羽風ぞすさまじき

五、
星宿めぐる十六の 春の笑まひに雪とけて
柳や眉をあつむらむ うき世に遠き武香陵
瓠巴こはの調にますらをが 胸の小琴ぞなりみだる

                 (明治三十九年北寮)


※ 楽譜は平成16年版の最終寮歌集に拠っています。

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