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全寮寮歌 《 闇の中なる

大島正徳・作詞/島崎赤太郎・作曲

一、
闇の中なる一すぢの 光なりけり天つ日の
向ヶ岡に霧はれて 花やぎ渡る朝の色
志ある青年が 濁り行く世を嘆きつつ
操と樹てし柏木の 旗風かをる寄宿寮

二、
高き賤しきおしなべて 心は闇か濁江にごりえ
塵にも似たる軽薄は 我が世を遂に如何にせん
さればまがつみ多くして 世の人皆は迷ふとも
我は迷はじ一すぢに 踏みゆく道は四綱領

三、
濁れる波を支へんに 城も櫓もなけれども
狂へる風をふせがんに 剣も楯もあらざれど
自ら治むる精神の 凝りかたまれる團結は
山なす濤もうち砕く 巌に似たる力あり

四、
かばかり熱き眞心の 底より深く萌え出でし
自ら治むる心根の 草の根ざしの深ければ
幾世の春はめぐるとも 幾世の風はすさぶとも
いかでか移りかはるべき 我が岡の邊の自治の華

五、
いざや吾伴この草の 根ざしにあつく培ひて
あだ波風を拒ぎつつ かをりを廣く匂はせて
頭にかざす柏木の ときはかきはに我寮の
光を四方に傳へてむ 誉を世々に傳へてむ

                     (明治三十四年)  


※ 楽譜は平成16年版の最終寮歌集に拠っています。

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