トップ / 寮歌集 / 藝文の花

上のページに戻る戻る

第二十回紀念祭寄贈歌 《 藝文の花

♪昭和50年版寮歌集準拠:
♪現状採譜:

大貫雪之助・作詞

一、
藝文げいぶんの花咲きみだれ 思想おもひの潮湧きめぐる
みやこに出でゝ向陵に 學ぶもうれし、武蔵野の
秋の入日はうたふべく 萬巻の書は庫にあり

二、
降りつむ雪にうづもれて 春を營む若草の
わかき心を誰か知る なべての眠りさめぬとき
真闇まやみの中に人知れず 鳴くくだかけを誰か知る

三、
あゝ薄暗き樫の根に 友と理想を語りてし
三年の夢は安かりき さながら今は長江の
河口間近くわだつみの 荒浪をきくわれ等かな

四、
などか恐れん諸共に いざ戰はん我父は
額の汗を野にそゝぎ 我が兄はまた舟に乗り
勇魚いさなとるべく行く見れば 戰ならぬものやある

五、
いそしむ窓に植ゑおきし 櫻も今はたけのびて
若き二十はたちとなりにけり そのくれなゐの花かげに
ともしびかゝげうちつどひ 今宵は語り明かさんか

               (明治四十三年 東大) 

印刷用ページ表示印刷 上のページに戻る戻る